頭痛の種類について
頭痛とは
世界共通で使用している国際頭痛分類では頭痛は約300種類以上あります。
それぞれの頭痛には必ず名前がついており、名前もない「ただの頭痛」といったものはありません。
頭痛は単に「痛み止め」で対応せずに、頭痛が正しく診断され、それぞれの頭痛に応じた治療が必要です。
頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に大きく分けられ、とくに原因となる病気がないのに繰り返し起こる頭痛を「一次性頭痛」と言います。主なタイプは、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」です。
片頭痛
片頭痛はズッキンズッキンと脈打つような強い痛みで、頭の片側に起こることが多く、体を動かすと頭痛がひどくなります。頭痛以外にも音や光、においが気になるという症状や、吐き気や嘔吐を伴うことが特徴です。頭痛は4〜72時間ぐらい持続し、月に1〜2回、多いときで週に2回くらい繰り返して起こります。
頭痛が起こる前に「前兆」といわれる、ギザギザした光が見えたり、視野の一部が見えにくくなるような現象が現れることがあります。
片頭痛は女性に多く、肉親に片頭痛の方がいるとおこりやすくなります。
頭痛がつらくて専門施設を受診する患者さんの多くが片頭痛です。片頭痛は疾病負担の大きい疾患であり、これによる労働生産性の低下や経済損失は無視することのできない問題です。片頭痛は生命(life)を脅かす病気ではありませんが、患者さんの人生(life)を確実に破壊する病気です。
しかし、現実は、決心して医療機関を受診しても、CTやMRIを撮って、「何もなかったので良かったですね」で終わってしまうことが未だに多く、片頭痛の正しい診断にたどり着くまで多くの医療機関を受診したり、途中で諦めてしまっていることが多く見受けられます。また、その支障度は社会的に低く誤解され、悩んでおられる患者さんが多くいます。
片頭痛はCGRPという物質が大きな役割をしているとわかりました。最近、本邦でも新たに使える様になったCGRP関連製剤により、既存の片頭痛予防薬では、頭痛日数が減少せず日常生活に支障を来している患者さんに対して、より片頭痛の本体に即した治療が可能になりました。今後も新たなCGRP関連製剤が発売される見込みですので、個々の患者さんのニーズに応じた治療選択が行え、日常生活支障や生活の質の改善が期待されます。
ぜひとも、最適な治療を受けるために、頭痛専門医による頭痛外来を受診することをお勧めします。
緊張型頭痛
一次性頭痛の中で最も多くみられる頭痛です。しかし、軽症であることが多く医療機関を受診されないことも多いようです。
頭の周りを何かで締め付けられているような鈍い痛みが30分〜7日間ほど続き、動いても痛みがひどくなることはありません。子供から高齢者までどの年代でもみられます。
首や肩のこりを伴うことも多く、さまざまなストレスによって頭の周りの筋肉が緊張することで起こります。パソコン作業などの同じ姿勢を長時間続ける身体的ストレスだけでなく、不安や心配などの精神的ストレスも原因になります。また、慢性緊張型頭痛では「筋肉の緊張のコントロールや痛みを和らげる脳内システム」に異常をきたしていると考えられています。
「鎮痛剤」の効果はあまり良くありません。
群発頭痛
半年から2〜3年に1度、1〜2ヶ月のほどの間集中して、毎日決まった時刻に15分〜3時間ほど、片目の奥にえぐられるような激痛が起こります。とくに夜間や睡眠中に起こりやすく、頭痛の最中に、痛みのあるほうの充血、流涙、鼻水・鼻づまりなどの自律神経症状がみられることが特徴です。
群発頭痛の起こるメカニズムとして、自律神経の中枢である視床下部の異常や、自律神経の枝の分布する血管周囲の異常などが考えられています。
20〜40代の男性に多く、群発頭痛がおこる期間(群発期)には飲酒で頭痛発作が起こります。
三叉神経痛や片頭痛や虫歯などの歯原性疼痛などに間違われ、適切な治療にたどり着くまでに長くかかりがちです。また、一般的な鎮痛剤では歯が立たないほどの激しい頭痛で、治療も異なりますので、頭痛専門医による頭痛外来への早めの受診が勧められます。